窓から差し込む光が眩しい。
恨めしげに目を細め少しだけ開ければ、
至近距離に関早の顔がありびっくりして頭が完全に覚醒した。
「おはよー、起きるの早いね」
「今日はね(一睡もしてないとかシャレになんないよ)」
いつの間にか腕が関ヶ原の首に回ってたから、
よいしょと起き上がるのと同時に腕も解いた。
(捨てられた犬みたいな顔しないでよー)
「そだ、朝食行こう(あー、離れちゃった)
「もうそんな時間なの?着替えるかなー」
「あ、俺部屋戻るよ」
1番上に積んであったダンボールの中から、
だぼだぼした半袖ロングカーディガンや短パンとかを出す。
(女の子っぽいけど気にしない!)
「よ、っと」
「…………!!」
寝る時に着ていたTシャツを脱ぐと同時に、
ドアから出ようとした関ノ下がそのままドアに衝突した。
「え、何してんの?」
「(なまきがえ!)俺、も着替えてくる!!」
バタンとドアを閉めて走り去った関間に疑問を抱きながら、
脱いだ服をベットに放り投げた。
窓からは起きた時と変わらず光が差し込み、
埃が舞って天の川のような一本の線を描いていた。
「おはよー中津、萱島!」
「おう、はよ!」
「おはよう。……関林、寝不足?オーラが……」
「……そこには触れないで」
いつものようにみんなでご飯を食べて、
(あ、いつもって言っても朝食初めてだ)
食べ終わった後にも話を続ける。
「ってことはってここら来んの初めて?」
「うん!ほんとは桃郷行くつもりだったし」
「ふーん。……あ、桃郷には知り合い居んの?」
「そだよー、幼馴染みがひと―――」
「門の所に桃郷の神楽坂が来てるらしいぜ」
「マジかよ。また佐野か?」
窓際で喋っている二人の話に知ってる名前が混ざっていた。
本当に真言の事か確かめるために二人の方を見たけど、
すでに話題は変わっていて別の話をしていた。
……とりあえず、門まで行くか!
「でさ、今日休みだしどっか行か」
「ごめん中津!ちょっと行ってくる!」
「え、!?」
突然走り出した俺。続くようにみんなの走る音が聞こえてくる。
門までの道は昨日のうちに覚えた。
(木にリボンを結んどいたなんて内緒!)
「……何しに来たんだよ」
「別に今日はお前に用があって来たんじゃねえよ」
「じゃあ何しに―――」
「いた!真言ー!」
勢いをつけて佐野と話していた真言に飛び付く。
(受け止めてくれたあたり流石、だ。)
「わ!すっげデカくなったな!」
「はあんまり変わんねぇ」
「!……そーいう事言うんだ」
笑い合えば、周りに居た佐野や中津たちはびっくりしていた。
(……なんでそんな顔してんの?)
「え、幼馴染みって……」
「そ!真言のこと!」
真言の頬に自分の頬をくっ付けにっこり笑う。
「(よりによってコイツかよ!)」
「ね、今日は何しに来たんだ?」
「部活休みだし、に会い来た。どっか行こうぜ」
口元を緩めてそう言った真言は、
昔と何も変わっていなくて(成長したとかナシに)
なんだか懐かしくなってすごく安心した。
「んー、でも中津とかと……」
「んなの関係ねえよ。ほら行くぞ」
「あ、!」
抱き着いた格好から軽くタクシーに放り投げられて、
後部座席に背中から着地した。(わ、いきなり!)
振り返ると窓からは門の所で騒いでいる中津たちが見える。
約束、したんだった。でも……中津たちとはいつでも遊べるし!
俺達を乗せたタクシーは道路を滑るように走っていった。
差し込む光は天の川/20070915
「で、どこ行くの?」
「いや、まだ決めてないけど」