ー!」
「(初対面でちゅーとか日本人はしないんじゃないの)」


口を塞がれながらぼんやりと考えていると、
バタバタと廊下から複数の足音が聞こえてきて、
それから誰かがこっちに向かって来ているのだと分かった。







!瑞稀!何が………」
「芦屋はどうでもいいけどくん!どーした………」

部屋になだれ込むように中津・萱島・関彰・中央くんを始めとした
学年関係なしにたくさんの人達が入って来た。




「ん、はッ……何でもないってー」
「へへ、転入生のちゅーげっとー」
「な、な……ッ!?」
「あ、シャンプー借りてくな?ありがとー」
「え、ちょ……!な、に!?」



未だ部屋の中に居るみんなに手をヒラヒラ振って、
片手でシャンプーを弄びながら自分の部屋へと向かった。










「ふあ、もう寝るかな。」



時計を見ればすでに日付は変わっていて、
太陽と洗剤の香りがするシーツに顔をうずめる。
けれど昼間寝てしまった所為か、なかなか寝付けない。
こうしている間にも時は刻一刻と過ぎていく訳で。
それを示すかのように時計の針がカチカチと追いかけっこ。






「……誰か起きてるかな」


気付けば足は廊下へと向かって行って。
最小限の音しかさせずにドアを閉めた。閉める間際に見た部屋は、
窓から月の光がこぼれていて部屋を優しく照らしていた。







「関成ー、起きてる……わけないか」




返事が無いので自分の部屋へ帰る。
(あーあ、最後の部屋だったのにな。起きてないか)
が、にゅっと出て来た腕に阻まれてそれは不可能になった。



「!……びっ、くりしたー!関沼か」
「こんな夜遅くにどうしたの?」


少しこっちを伺うような視線に苦笑い。寝れない、とか少し恥ずかしい。







「なあ、一緒に寝ない?」
「あ、うん。いいよ。ちょっと待……えええ!!」



部屋に何かを取りに行くのかと思えば、
勢いよくこっちを振り向いた関城にびっくりする。





「わわ、声落として!」



バッ、と口を塞げばこくこくと首を縦に振ったので、
訝しげに手を放して会話を再開させる。






「いや、あの、その……寝る?」
「?うん、俺の部屋来てくれると嬉しい」
「(さ、誘ってる!)い、いいよ行こう」


何かを覚悟したような顔をして、関上は俺の部屋目指して歩き始める。
そんな背中を見ていると、自然と口元には笑みが浮かんだ。










「え!同じベットで寝るの!?」
「うん、せっかく呼んだのに床じゃ失礼だし!……あ、俺が床で寝よっか?」
「い、いいっ!寝るから!(やばい色々と)」



真っ赤な顔で首を振る関坂に疑問を抱きながら電気を消した。



「わわ、何も見えねー」
「大丈夫?こっちまで来れ……うわ!」
「……つっ!ごめ、せきなか!平気?」
「平気!とりあえず上からどいて!(ぎゃー!)」
「あ、うん分かった」






何もない所でつまずいて、座っている関渡の肩に手を回す格好になり
急いで離れた。(うわわ、重かったよな!ごめんなさい)


「んー、おやすみー」
「う、うん(どうしよ俺寝れない!)」


ぐっすり眠る俺と目が冴えた関波。そんな事関係なしに夜は更けていった。







睡眠は三大欲求のひとつ/20070911

(「……んぁ、きょーご」)
(手が!俺の!首に!やばい!)

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