「あ、みーずき!」

夕食の時間になって食堂に行けば、瑞稀や中津たちが座っていた。



!こっちこっちー!」
「ずいぶん遅かったね」

瑞稀は手をもげるくらい振っていて、その隣の萱島も笑っている。
(あー、和む。疲れが癒えるねコレ!)


「ちょっとあってさ!あ、席ありがとう」
「いーって!早く食べろよー」


ニカ、と笑ってくれた中津に笑みを返す。
机の上には焼き魚定食?があった。

「何好きかよく分かんなくて……ごめん」
「や、俺好きだから!好きだよ、関内!」



刹那、周りの空気が一気に固まった。
(あれ、俺NGワード言った!?)




「ご、ごめん!空気悪くした」
「ちょ、え、好きって……!(何でこんな時に苗字間違えんの!)」
「?焼き魚ありがとー関ノ宮」


そう言えば、がくりと床に手をつく関場。
いや、俺マジでなんかした!?




「え!なんかごめん関……うあ!」

謝ろうとして、口を開ければ勢いよく誰かに抱き着かれた。
うわわ、椅子ひっくり返りそう!



!会いたかった!」
「え、あ、難波先輩か」


すりすりとほお擦りをしてくる先輩を気にせず、
普通に食事を再開させる。(わ、うまいコレ)


「ちょっと先輩、から離れてください」
「何で中津に言われなきゃなんねえの」
「それは、(好きかも、なんて言えねェエエ!)」
「俺はが好きだから離れたくないの!」
「は!?ちょ(先越された!)」
「さっきだってチューしちゃったし?な、!」
「?そうですね(なになに?)」





俺がそう答えると、中津だけじゃなくてみんな声をあげた。
(わわ、萱島がびっくりしてんの見るの初めて!)



「は、にチュー!?何してんですか!」
「や、したかったから(ざまーみろ)」

俺が食べ終わるのと同時に左手を瑞稀、右手を萱島につながれた。
後ろでは関和がオロオロしている。
(「俺も手、つなぎたい!って何思ってんの!?」)



「?なに瑞稀、萱島」
「食べ終わったんなら帰ろーぜ?」
「え、でも中津……」
「中津なら置いといていいよ。帰ろう」


ズズ、と引きずられて食堂を後にする。
なんか中津の扱いってこんなんばっかだな。
振り向けば食堂から中津の叫び声が聞こえた。









「おー、ダンボールばっか」


部屋に戻ればダンボールがいくつか積み重ねてあって、
少しだけ多い気がするそれをしげしげと眺めた。

「ん、めんどくさそうだな」



いくらなんでも今日中には片付かないだろ、
と思って今必要なシーツやタオルを出す。
……今日は疲れたし、風呂入って寝よう。



「あれ……シャンプーねえや」


お湯を頭からかぶったまでは良かったけど、シャンプーが無い。
コックを捻ってお湯を止めてから腰にタオルを巻き、
頭から雫が滴らない程度に髪も少し拭いた。


「さて、誰か貸してくれるかな」





「関金ー!いるー?」

ガチャリと扉を開けて部屋に入れば、
寝転がりながら雑誌を読んでる関寺と目が合った。



「ななななな、!?」
「そーそー俺。な、シャンプーねえ?」
「ごごめん、ないや(うわーやばい。本当やばい)」
「そっか、ありがと」






「あー、えっと。中央くん、だっけ?」
「わ、くん……(た、たおるいちまいっ)」
「シャンプーないんだけどさ、ある?」
「!……な、ないっ(やばい、どうしよ)」


首を傾げてそう聞けば、ブンブンと頭を横に振る中央くん。
そんなに振ったら取れちゃいそうだよ。



「時間取らせちゃってごめんね」
「っ全然!(むしろ大歓迎!)」





中央くんに手を振って別れたら、
前の方から中津と萱島が歩いてきた。
(みんなすげータイミングいいなオイ)




「中津ー、萱島ー!」
「……何してるの?」
「それがさー、シャンプーなくって」
「残念、使い切っちゃった」
「そっか。中津は?」
「(やべー、タオル一枚とかえろすぎ!つかほっせーよ!白いよ!
 わー、やべェ。男同士でも出来る……んだよ、な)」
「わ!中津鼻血!」
「うおっ!」


ぼー、としていたかと思えば急に鼻血を出した中津。
中津は自分が鼻血を出していた事に気付いてゴシゴシ手の裏で拭う。





「大丈夫?どしたの?」
「な、何でもねえ!」
「……そうだ、佐野の所行ったらあるんじゃないかな
(中津、絶対妄想してた。絶対)」


聞き慣れない名前に眉根を寄せる。さ、佐野?って誰だろ。


「……佐野?」
「そう。芦屋と同じ部屋だよ」
「行ってみる!ありがと!」



ヒラヒラと手を振って、瑞稀の部屋へと急ぐ。
早く風呂入んなきゃ風邪引いちゃうしな。







「瑞稀、と佐野居るか?」
!ちょっと今佐野に近付くなよ!」

2階?の瑞稀の傍に行くため、階段下まで歩いていく。




「え、何で?シャンプー借りに来たんだけど、ある?
 (つか瑞稀以外居なくね?佐野居ねーじゃん)」
「貸すから!だから逃げろ!」
「?さっきから何言ってんだ?」
「いいから逃げ……後ろ!」
「え、」


突然肩を掴まれたかと思うと、いきなり体を反転された。
(うわ、どーなってんの!?)




ー!!」

遠くで瑞稀の叫び声が聞こえる。
けれども俺の視界は目の前の男に塞がれた。
うわー、またちゅーだ。(今日はちゅーしかしてない気がする)







今日は何の日?ちゅーの日です/20070901

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