「一・二・三寮?」
「そ!ちなみに、俺達は第二寮ね!」


関崎(「関目だってば!」)の説明に首を傾げる。
つまりは、えーと……
第一寮は格闘系、第二寮はスポーツ系、第三寮は演劇系って訳ね。
つかこの学校そんなに寮あるんだな。



「やっぱ第二寮にしとけよ!」
「そうだね。俺も入ってくれたら嬉しいな」

俺の肩に手を置いて(少し間があった)
中津がお茶を飲みながら言い、萱島もそれに続いて言った。



「んー、どうしようかな」
「絶対二寮がいいって!(一緒がいいし!)」
「二寮が一番マシだよ!(変わり者多いけど)」


中津と関城が一生懸命に俺を誘う。
(な、なんでそんなに必死なんだろう)
でも、中津と萱島と関下が居るならいいかな



「ん、もう少し考えてみる」

そう言えば少し不満そうな顔をしたけど、
「大事なことだし」と言って了承してくれた。
(やっぱいい奴らだなー)


「迷ったら絶対二寮にしろよ!」
「分かったって中津」
「絶対だからな!(他の寮になんか渡すか!)」




時は過ぎ、放課後。(ごめんなさい授業寝てました)
部活のある中津や関屋たちと別れ、とりあえず学校を出る。




「あ、転入生!」


後ろから声を掛けられて、くるりと声の方向に向く。
そこに居たのは女の子みたいな顔をした生徒。

「えーと……誰?」
「俺、芦屋瑞稀!瑞稀でいいぜ!……そっちは、だよな?」
「そ!俺もでいいよ。よろしく瑞稀」



にこり、と笑って瑞稀を見る。
やっぱり見れば見る程女の子みたいだ。
でも男子校に女の子は居ない、よな。



「いきなりだけどさあ、
「ん、なに?」
ってモテるだろ」


突然何を言うかと思えば、瑞稀はそんなことを口走った。
いやいやいや、何言ってんの!




「え、何いきなり!」
「だって、すっげー美人じゃん」
「瑞稀も女の子みたいで可愛い」
「っ……!女みたいって言われても嬉しくねぇよっ(やば、なんか顔熱っ!)」


急に慌てだした瑞稀にカラカラと笑う。
(「あ、ちょ!笑うな!」)
やっぱり声も高いし女の子みたいだな。




「あ、そうだ。瑞稀、第二寮って―――」
「居たぞ!だ!」

瑞稀に第二寮の場所を聞こうとした途端、
遠くの方で声がしたかと思うと、
変な格好をした集団に左右から挟まれた。(な、なにこいつら!)




「え、いや、何ですか」
!一寮に入れ!」
「その美しい容姿……!あぁ、是非とも第三寮へ!」


すげー強そうな人と、ちょっと危ない人に近寄られて、
自然と汗が浮かぶ。(こんな人達見たことないよ俺)



「ちょ、瑞稀!なにこの人たち!」
「説明は後!せーので走るぞ」


小声で会話をしながら周りの人の様子を伺う。
逃げられそうな道はふたつ。
円形になっている柔道着の人達とマントの人達の隙間。
こくり、と頷いて分かったことを知らせる。





「行くぞ?……せーのっ!」

瑞稀の声を合図に左右に別れて走り出す。
周りの人達は一瞬の出来事にびっくりして、
少し遅れて追い掛けて来ている。



ー!待て!」
くん、逃げられませんよ!」


つか全員俺の方に来てね!?
俺は後ろを振り向くことをやめ、一目散に走った。
(も……ダメつかれた)







怪しい奴からエスケープ!/20070829

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