「ねー、起きろって!」
「んぁ、ねむ………だめ」
「起きてよー!(うわ色っぽ……!)」

体を揺すられて、目を擦りながらゆっくりと起き上がる。
あれ……ここどこ?



「ん……きょーご?」
「(な、名前!)、お昼食べ行こう!」
「……え、そんな時間!?」


その言葉に頭がハッキリと冴え渡る。
(やっべ!俺どんだけ寝てんの!?)
午前中の授業は全部寝過ごしたらしい。
転入初日からこんな……!第一印象悪ィィイイイ!!!





「ご、ごめん関田!待っててくれてありがと!」
「……関目ね。廊下で中津と萱島が待ってるから行こう。
 (あ、苗字に戻っちゃった)」
「……(中津?萱島?)」



行こう、と言って先を歩く関川を目で追う。
……中津と萱島って誰だろ。
転入初日だし分からなくて当然かと呟いて、
鞄から財布だけを取り出しポケットにしまい、
関山を追い掛けて廊下に出た。





「せーきーざーぶぁ!?」
「うお!」


勢いよく廊下に出た所で誰かの胸板にぶつかる。
うおおー!鼻痛ェェエエよ!
しかもなんか『ぶぁ』って言ったし『ぶぁ』って!
とりあえず、ぶつかった人からヨロヨロと離れる。



「ごめん!なんか勢いよくぶつかっちまった」
「いや、気にしてねーよ!(……衝撃が小さかった)」



ぶつかった相手は、ニッと笑って手を差し出してきた。
(え、何!?どうすればいいの!)
握手、と言われたので手を出して握手する。
フランスでは挨拶はちゅーだったから変な感じ!
でもこういうのも悪くないな、と思い微笑んでから
手をギュと握り直す。



「俺、!よろしく」
「俺は中津ね。……よし、飯行くか(手ほっせー!つか美人)」


そのまま手を握って、中津は歩き出した。
当然まだ握手したままの俺は前に引っ張られる訳で。
前に転びそうになったけど、何とか体制を直したから平気だった。
(わわわ、びっくりした!)(いきなり歩くなよ)




「中津」
「(わー、マジ手ェほせーのに握り心地いいな。
  顔もやばいくらい美人だし……
 …って俺はホモじゃねェェエ!こいつは只の転入生で、俺の友達!)」
「……中津?」
「(でも何だこの感覚。……の触れてる所から熱くなってく。
 しかもなんかドキドキするし……だァァアアア!)俺はホモじゃねえ!」
「え、何!んなの分かってるよ」



俺の声が聞こえてないのかと思えば、
キリリとした目で『ホモじゃねえ』といきなり宣言され
ビクリ、と肩を揺らす。(な、何!)(どしたの中津)




「そーだよな!俺は断じてホモじゃねえ。ホモじゃねえ」
「……ピンクのオーラ」
「うわ、誰?」


後ろから突如にゅ、と現れた不思議少年に目を向ける。
(お、オーラってなんだ……!)


「俺は萱島。これからよろしくね」
「こちらこそ!よろしく!」

萱島を見てにこりと笑えば、薄くだけど笑ってくれて嬉しくなった。





「それより中津、オーラすごいよ。」
「え、うそ。」
「本当。今までにないショッキングピンク。」
「……マジかよ(相手男だし……)」


なになにー、と話に入ろうとすれば「何でもねえ!」
と慌てて返され首を傾げる。俺が混ざったらいけないのかな。
そう思って、複雑そうな顔をしてる関森の手を取り歩き出す。




「関水、はやく飯行こ」
「……あ、うん(手!つないでる!)」


まだその場所で「ホモじゃねェエ!」と叫んでる中津と、
その付き添いである萱島を置いて、俺と関島は食堂へ向かった。







ぶつかって一目惚れ/20070826

(昼何にしようかなー)
(手!やばい嬉しい!って俺何思ってんの!?)

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