「……にしても転入生遅くね?」
「しかも帰国子女だろ?」
「やっぱ、金髪青目がいいよな!」
「でも芦屋みたいなこともあんだろ」
そのころ2Cでは転入生の話で持ち切りだった。
来るのが遅いということもあり、期待はどんどん高くなっていく。
「廊下に誰も居ないって事は……授業中か(やべえ)」
人っ子一人いない廊下を眺めながら呟く。
て言っても、もう俺の教室である2Cの前に居るんだけど。
(来る途中他の先生に聞いた。)
「あー、やっぱり第一印象が大切だって言うしな……!」
制服を少し崩して、深呼吸してからドアノブに手を掛け開ける。
「遅刻してすいません。……?」
黙ってこっちを見つめる数十人の視線に眉根を寄せる。
(服とか……平気だよな?髪型、も)
「おお、やっと来たか。」
「すいません、迷っちゃって……。」
「まぁ、広いからな。ほら自己紹介」
どうやら担任の授業だったらしく、先生と少しだけ話す。
そして、自己紹介をするためにまた一度息を吸い込む。
(あーこういうの初めて!緊張するー!!)
「、日本人とフランス人のハーフです。
フランスから日本へ帰って来て、間違えてこの学校に転入しました。
これからよろしく!」
にこ、と笑えば一拍遅れて大きな拍手が聞こえてくる。
(「美人!!」「金髪ー!」「モデルっぽいな」「やば、タイプ!」)
よかったー、無視されたらどうしようかと思った!
「あ、くんあそこの席ね」
「はーい」
犬みたいな奴がブンブンと手を振ってる方向へ足を向ける。
(わー、しっぽ見える!)
「ちょ、ちょっと美人だからって……」
途中で話し掛けてきた男にしては可愛い系の奴に目を向ける。
俺と目が合うと視線を下に落としてしまった。
「ん、なに?」
「だ、だから……!(やばい、タイプかも)」
顔を赤くして怒っていても、それすら可愛く思えて笑みを浮かべる。
「ちょ、ちょーし乗んなって言………!」
さっきの梅田先生同様、こいつの唇にちゅーをひとつ。
(黙らせるのには一番らしいし)
「これからよろしくな!」
そう言うと口をパクパクさせて黙ってしまった(父さんの作戦効果ありすぎ!)
周りからは数秒遅れで叫び声。そんなのを気にせず席へと座る。
「でいいよ!よろしく」
「え、あ、うん!……俺、関目京悟!よろしくね」
あー、やっぱこいつ犬みたい。仲良くなれそうだ。よかったー!
と安心してから俺はすぐに眠りについた(「ちょ、!?」)。
ごめんな関口、俺もう無理だよ。眠みぃ。
「おやすみー」
「寝ないで!(げ、美人すぎる……!)」
隣の席のスリーピングビューティ/20070825