「たっだいまー!」
「おかえり、く……わ!」


寮の入口に立っていた中央くんに声を掛け抱き着く。
自分のために歓迎会やってくれるとかテンション上がるよな。
うしろから走ってくる中津たちを気にせずに、
ぎゅっと強く中央くんを抱きしめる。




「あー癒されるー」
「っ(やばい!心臓やばい!たすけて!……やっぱ助けないで!)」


目を閉じて中央くんの髪をさらさらと撫でる。
(あ、今日は髪の毛下ろしてる。)
中央くんの全身から甘い匂いがする(気がする)。
おいしそうなんだけど!






、そろそろ離してやれって(それ以上ひっつくな!)」
「!(中津!お前今度覚えてろよ!)」
「え?あ、うん。」


中津に肩を引っ張られて中央くんから離れる。
少し名残惜しかったけど、俺の意識は寮の食堂へと向いた。




「いい匂いする!早く行こうぜ!」
「うん、行こう」


萱島に手を差し出されて、それに俺の手も乗せる。
(「ずりー!」「いいなあ」)
引っ張られて来た食堂は飾られていて、そこにはみんなが居た。




「おっ!、早かったな」
「先輩!ただいま帰りました」
「よっしゃ!主役が来たから始めるぜ!」


関江にジュースの入ったコップを渡され、みんなで乾杯する。
コップとコップがぶつかる音を合図に、俺の歓迎会が始まった。





※※※






佐野が酔ってちゅーしまくったり難波先輩にセクハラされたりしたけど、
なんとか歓迎会は中盤に差し掛かった。




「そーいやのアドレス聞いてないよな」
「え、そうだっけ?」
「そうそう。登録しといてやるって!」


俺から中津は携帯を受け取ると、なにやら弄り始めた。
まあ別にいいか、と思って紙コップに手を伸ばす。




「わわわわなにこれ!!」
「っ!……どしたの関崎?」
「こ、れ!嫌だあああ!」


向かいの席に座った関杉が中津の持った携帯を指差し口をぱくぱく。
なんだなんだ、と群がる蟻んこみんな。
そして必ず絶句へとたどり着く。(え、なに!なんだよ!)



「………神楽坂?」

ぽつり、と呟いた佐野の一言が、妙に静かな食堂に響き渡る。
……神楽坂って真言のこと、だよな?





「?……あぁ!プリクラな!真言との!」



凍っている中津の手から笑って携帯をつかむ。
さっき貼られたばかりのそれに、思い出し笑いひとつ。



「すっげー不意ふちで、俺目ェ見開いてる!うっわー」
「……、遠近法だよね?」


下から覗き込んでくる子犬みたいな萱島。
(わわ、可愛い!目ェすっごい潤んでる!)




「?ううん、真正面からぶちゅーっと!」
「!!!」
「あ、真言から電話だ!もしもーし!」


くるっとみんなの方から向きを変え、
携帯から聞こえてくる聞きなれた真言の声に耳を傾ける。
さっき会ったのに、懐かしく感じるとかどんだけ!







中央くんはケーキの香り/20071231

「(今度会ったらぜってー殺す!)」
「(……あああ、のキス!)」
「(ハイジャンの練習頑張ろう……)」



(とりあえず、歓迎会編終了!)(つまんないなコレ)

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