最近染めた髪(ハニーブロンド。お気に入り!)を風に揺らしながら道を進む。
俺は日本人の父とフランス人の母を持つハーフだけど、
髪は父と同じで真っ黒だった。(髪意外は全部母親似なんだよ)
顔は外人ぽいのに、髪は黒。それもなんだかなーという事と、
転入ということもあり気分転換してみようと軽く思った。
そんで今の髪色に至る(いやー、これが気に入っちゃってさ!)。

前置きはこの位にして。俺は今日、この桜咲学園に転入する
(だってそう書いてあるし)(あれ?幼馴染みが居る学校だよな?)


「ここが桜咲学園、か」



ちょっと待ってよ。何このひとごみ。
この前行ったディ●ニーランド並だよこれ。
混乱しながらよろよろと、けれどまっすぐに進む。



「あら!見ない顔!」

パシャリ、とシャッター音とフラッシュが光り、声の元を見る。
そこには怪しい屋台と、ええと………何て言うんだろう。
お姉さんとおばさんの間をさまよっているような……綺麗なイキイキとした人。



「あ、ハイ。そうですけど」
「やっぱりね!こんな綺麗な顔見たら忘れないもの」


そう言いながらも写真を撮るのをやめない女の人。
楽しそうに写真を撮るのはいい事だと思う(だよな?)。
……けど、いい加減目がチカチカするんだけど。
ちょっとやめてくんねーかな。……無理か。



「おーおー、あんたいいねえ!ちょっとポーズ!」
「?……こう?」


振り向き様にカメラに笑いかける。
(こういうの、友達に頼まれてフランスでやったことあるよ俺)
だけど楽しいんだよ、周りの女の子集団には悪いけどな。
なんかスペース取ってごめん!



「そそっ!あんた素質あるよ!」
「よっしゃ、バシバシ撮って!!」


カメラに視線を向けた途端に聞こえて来た黄色い悲鳴に、我に帰る
(あっちで何があったんだろ)。



「あ、俺行かなきゃ!」
「そう、残念だよホント。また撮らせてよね!」
「俺で良ければ喜んで!」


それじゃ!と手を振ってから、校舎の方向に走りだす。
けれどそっちは門の方向で、また来た道を後戻り。
あ、俺校舎の場所知らねえや。
あー、俺ってマジ馬鹿じゃんか!ほんと校舎どこだよー。


そこで思いついた最後の手段。それを実行するために携帯を手に取る。




「あ、もしもし!真言?俺だよ俺!」
「…………詐欺か?」
「ちげーよ、俺!!分かって言ってんだろお前!」
「まぁな。ていうかお前今どこ居んだよ」
「そうそう、迷っちゃってさ!えと、桜咲学園!」
「………は?」
「びっくりしただろー!つか知ってたか」

あはは、と笑いながら時計を見る。
……やべえ!転入初日で遅刻とか死んでる!




「早く!真言、校舎どこ!?」
「………どこ居んだよお前」
「だから迷ったって……」
「俺の学校は、桃郷学園だ」
「…………え?」



俺 in 桜咲学園 now。
あれ、俺は桜咲に転入して………




「父さんが間違えた……?」
「………多分な」







間違えて転入生/20070825


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